【紹介:小説家】大前粟生
大前粟生
【略歴・紹介】
大前粟生(おおまえ・あお)
1992年兵庫生まれ
2016年「彼女をバスタブにいれて燃やす」でGRANTA JAPAN with 早稲田文学公募プロジェクト最優秀作に選出される。
「ユキの異常な体質 または僕はどれほどお金がほしいか」で第2回ブックショートアワード受賞。「文鳥」でat home AWARD大賞受賞。
(大前粟生『回転草』書肆侃侃房2018.6より」)
【作品】
・『のけものども』惑星と口笛ブックス 2017.5(電子書籍)
『のけものども』は著者初の短編集。「惑星と口笛ブックス」は小説家の西崎憲氏が運営しているレーベルです。
(紙媒体として発売されることを期待!)
・『回転草』書肆侃侃房2018.6(単行本・紙媒体)
回転草は氏が賞を受賞した作品、代表作を中心に収録・構成されています。 ・「文鳥」 ・「彼女をバスタブにいれて燃やす」 ・「海に流れる雪の音」 (「ユキちゃんの異常な体質 または僕はどれほどお金がほしいか」改題改稿) 等々
参考
・BOOK SHORTS インタビュー(『のけものども』刊行後インタビュー)
・光村図書インタビュー(『回転草』に収録されている「わたしたちがチャンピオンだったころ」についても言及されています)
「飛ぶ教室」のご紹介 スペシャルインタビュー 大前粟生 | みつむら web magazine | 光村図書出版
大前粟生の作品がお好きな方におすすめ
・文学
大前さんの小説をお好きな方はおそらく、翻訳ものの短編・掌編小説もお好きだと思われます。上のインタビューで言及してもいますので、岸本佐和子さんの翻訳を一冊とアメリカの有名な作家の短編集を一冊ご紹介します。
・リディア・デイヴィス『ほとんど記憶のない女』
掌編が主な作品集になっております。話の筋も脈絡もない愉快でユーモアの効いた作品が多数収録されています。
・ドナルド・ヴァーセルミ『シティ・ライフ』
登場人物の語りも独白もほとんど信用できない不思議な短編集です。80年代にデビューした小説家の方にも、影響を受けた方が何人もいるかと思われます。
おわりに
大前粟生さんの作品は、話の筋というべきものがきちんとあります。が、なにも筋があれば話がすこんと頭の中に入ってくるかといえば、そんなことはありません。氏の作品に登場する人物の思考に関しても同様です。筋はありますし、ある事件に対する彼らの反応、感情の起伏に関しても筋が通っていると言えます。しかし、頭の中にすこんと入ってくるかは別なのです。筋が通っているからこそ、理解の遠く及ばないこともあるのではないでしょうか。「おやおや」の連続です。『回転草』の帯には作家の藤野可織さんのコピーが付いています。
楽しくてばかばかしくて切実な絶望で、今にも破裂しそう。読んでる私も破裂しそう。せーのでいっしょに破裂したい!
『回転草』より
「破裂」しそうだし「破裂」したいけど、破裂しないのが大前さんの作品の魅力なのかなと思った次第でありました。
次回作を楽しみに待ちましょう。