【紹介:小説家】鴻池留衣
鴻池留衣
【略歴・紹介】
1987年埼玉県生まれ
慶応義塾大学文学部中退
2016年「二人組み」で第48回新潮新人賞を受賞
東京都在住
(鴻池留衣『ナイス・エイジ』新潮社2018.1より)
作品
・『ナイス・エイジ』新潮社2018.1(単行本)
デビュー作である「二人組み」と文芸誌から女性誌まで幅広く取り上げられた「ナイス・エイジ」の2作が収録。
「二人組み」に関しては、拙稿をご用意してありますので、ついでによろしくお願いします。
「ナイス・エイジ」は未来からやってきた自分の息子と生活するAV女優の話です。真実はいずこへ、と考えさせられましたね。文芸誌掲載時も単行本発売時も、とても話題になっていましたね。
・「ジャップ・ン・ロール・ヒーロー」(新潮2018年9月号に掲載)
幻(架空?)のバンド「ダンチュラ・デオ」の紹介という形式で進む小説です(「紹介」の方法がミソ) 。登場人物の置かれている立場や力関係が面白いくらいコロコロと変わります。クイズゲームをする場面がありましたが、最近の文芸誌ではあまりお目にかかれない光景でケラケラと笑いながら読むことが出来ました
参考
・新潮新人賞受賞時のインタビュー(リンク切れの可能性あり)
http://www.shinchosha.co.jp/shincho/tachiyomi/20161007_3.html
・すばる2018年4月号、及びすばる2018年5月号に氏の読書日録が掲載されていました。ファンの方にはおすすめです。(この回のすばるは、全体として好評だったように思います。特に5月号)
鴻池留衣の作品が好きな人におすすめ!
・文学
氏はインタビューの中で、谷崎潤一郎、三島由紀夫、大江健三郎、ジャン=ジュネを好きな作家として挙げています。作品としては、谷崎の『春琴抄』とジュネの『花のノートルダム』がお好きなようです。個人的には、新作「ジャップ・ン・ロール・ヒーロー」を読んだときに、谷崎の「少年」を思い浮かべました。なので、ここでは「少年」を押しておきます。鴻池ファンの方には、江戸川乱歩や島田雅彦さんの小説(デビュー~『自由死刑』まで)もいいかなと思いますが、どうでしょう?
谷崎の「少年」が収録されている短編集です。
失明をしてしまった琴弾の少女とその従者の物語です。描写の密度が濃いことで有名ですね。男性の女性に対する忠誠心、複雑な恋愛が描かれています。
ジャン=ジュネ『花のノートルダム』
ジャン=ジュネは、暴力や、本来であれば汚いとされているものを美しく描写することで有名です(すみません、未読です!)
おわりに
鴻池留衣さんは、デビュー時から至るところで注目されている作家です。
ディティールに凝っていて、読む度に新しい発見や著者のたくらみを見つけることが出来るのではないかと思われます。今後の動向を見逃さないように追っていきたいところですね。
文体も、軽やかで万人受けかと思われますので、まだ読まれていない方は、ぜひとも読まれてみてください~。一作目には、「ナイス・エイジ」がおすすめです。
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