文芸ポップス

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文芸作品を楽しむブログです。

【紹介:小説家】山下紘加

山下紘加

【略歴・紹介】

 山下紘加(やました・ひろか)

1994年生まれ

東京都出身

2015年 文藝賞受賞。小説家としてデビュー

(山下紘加『ドール』河出書房新社2015.11より)

 

作品

・『ドール』単行本(河出書房新社2015.11)

山下紘加のデビュー作。ラブドールと秘密の愛を育む中学生を書いた小説。「女性であれば本来ならば近寄りたくない男子中学を(女性でありながら)緻密に描いている」(大意)と選考委員の一人である星野智幸にも評価された作品。

 

・「空 そこに私はいない」(『文藝』2016.3.秋季号)

山下紘加さんの受賞第一作です。単行本には未収録ですので、ぜひこちらの『文藝』をお買い求めください。(私、未読です。)

参考

・ インタビュー

「ドール」発表後のインタビュー記事です。

» 【前編】第52回文藝賞「ドール」山下紘加さん 受賞作は“ラブドールから出発した青春小説”

» 【後編】第52回文藝賞「ドール」山下紘加さん 受賞作は“ラブドールから出発した青春小説”

 

 山下紘加の作品が好きな人におすすめ!

山下紘加さんは、中村文則江國香織さん、山田詠美さんが、好きらしいです。特に、江國香織さんからは影響を受けたようです。私、江國香織さんの小説を一冊も読んだことがないので、自分が読んだことのある本の中から、何冊かピックアップしてみます!

 

中村文則『土の中の子供』

山田詠美『ベッドタイムアイズ』

山下さん本人、上の2作はノートに書き写したそうです!写経に『土の中の子供』を選ぶなんてすごいです。

  

ゴーゴリ狂人日記

「信頼できない語り」という点で、ゴーゴリの『狂人日記』を挙げさせていただきます。

阿部和重ニッポニアニッポン

引きこもりの男の子が、キジをどうにかしようと考える(とらえる・殺す・逃がす)話です。こちらも『狂人日記』と同じように、視点人物に独特のバイアスがかかっています。「信頼できない語り」だと私は考えます。

それから、山下さんは芥川龍之介も、小学校の頃から読まれていたそうです。文学だけでなく、東野圭吾さんのようなミステリー作家の作品も読まれていたらしいです。

 

おわりに

なぜこれほど多くの本を紹介したかというと、山下さんが私と同じ1994年生まれだからです。世代としてみたときに、阿部和重中村文則を読んでる世代なのではないかなと思います。山田詠美さんもそうですね。なので、勝手ながらシンパシーを覚えてしまったのです。

 

そして、同時に激しい嫉妬も感じます。『ドール』で文藝賞を受賞した当時、21歳と推定出来ますが、同級生がこんな小説を書くなんて!と『文藝』を読んで思ったものです。

 

私も拙い小説を書いている身として『ドール』を読んだときに「ここまで目を逸らしたくなるよな現実を書き上げる人がいるのか」と落胆し、「もう小説なんて書くのやめようかな」と何度も考えました。

 

しかし、一方、我々の世代でもこれだけの作品を書いている人がいる、ということを一つの希望のように考えてもいました。

 

次作が発表された際には、徹底して批評してやるぞ、と意気込みながらもまたまた醜い嫉妬心を駆り立てられるだけのような気もしますね。そんな心持ちじゃいけませんが。

 

山下さんが、シーンを作り上げる頃には、私も小説を発表していたいものです。