【紹介:小説家】春見朔子
春見朔子
【略歴・紹介】
1983年北海道生まれ
北海道大学薬学部卒業
北海道内で薬剤師として働きながら、2015年より小説を書き始める。
2016年『そういう生き物』で第40回すばる文学賞受賞。
(春見朔子『そういう生き物』集英社2017.2 より)
『すばる』2018年6月号に新作『転写か翻訳』が掲載。
【作品】
小説『そういう生き物』
そういう生き物 春見朔子|集英社 WEB文芸 RENZABURO レンザブロー
・本人インタビュー―『そういう生き物』のモチーフ(性について)がメインです。
【春見朔子が好きな人におすすめ】
・文学
正直言って、私の読書遍歴においては上手く見つけることが出来ませんでした。同性愛をテーマとした小説であると、本作を考えるのであれば、下の2作を上げます。
近代の代表として
同性愛である、ということの葛藤を言葉に、文章に変えたという点でも本作は意味ある書ですが、文学作品としての価値も高い一品です。
現代文学代表として上げるならこちらですが、李琴峰さんの『独り舞』も、同性愛をテーマとした作品として読むにはあまりにも陳腐なものでした、私はこちらの作品を、人間が真に何の偏見や差別も無く生きる為の1つの指針を示してくれる作品であると思っていますので。ぜひ、お読みください。良書です。
『そういう生き物』を上手くいかない恋愛小説だと捉えるのであれば、
ミラン・クンデラ『存在の耐えられない軽さ』を勧めますね。
現代の作品で考えるのならば、あまり思い浮かびませんね。テーマやモチーフで言えば、島本理生と近いものがありませんが、文体では、青山七恵を思い浮かべました。
『そういう生き物』は不思議な作品です。同性愛、という一般にセンシティブに扱われがちな題材ではありますが、不思議と、『そういう生き物』においてはその点が重要視されているとは、思えません。上手くいかないカップル、互いに思いを寄せているのに、その思いの伝え方の分からないカップルが、作品の中には表れていますね。本命が上手くいかない、本命に対して考えることが多すぎる、と言った一般的な考えから、主人公は男遊びを繰り返してるとも思えますね。
作品から本人の読書遍歴も分かりかねますが、春見さんの価値観もさしはかりかねますね。今後、どのような作品を出していくのか。楽しみです。『そういう生き物』に関しては、買って損はありません。